クリスマスが近づくと、日本全国のケンタッキーフライドチキン(KFC)店舗には長い行列ができ、
予約が殺到します。実は、日本でクリスマスにKFCを食べる習慣は独特の文化として定着しています。
しかし、なぜ「クリスマスにはケンタッキー」という発想が生まれたのでしょうか?
その背景を掘り下げていきます。
1. 起源は1970年代のキャンペーン
この習慣の起源は、1970年代に遡ります。1974年、KFCは“クリスマスにはケンタッキー”という
キャンペーンを開始しました。当時、日本ではクリスマスを祝う文化はまだそれほど浸透しておらず、
クリスマスといえばケーキとささやかなパーティーが一般的でした
その中で、KFCの創業者カーネル・サンダースに扮した日本の広告戦略チームは、
アメリカでのターキー(七面鳥)を食べるクリスマスの伝統にヒントを得て、ターキーの代わりに
手軽に楽しめるフライドチキンを提案しました。
このキャンペーンが成功し、日本独自のクリスマスの食文化が生まれたのです
ケンタッキーフライドチキン(以下:KFC)は、1970年3月の大阪万博で日本に上陸しました
日本KFCは、KFCの故郷アメリカ合衆国への敬意を表し、アメリカ独立記念日と同日の1970年7月4日に
創業し、同年11月、愛知県名古屋市に日本1号店(名西店)をオープンしました。
画像引用元:日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社
しかし、KFC名西店は馴染みのないフライドチキンということもあって大きな赤字となり、翌年あえなく閉店という目にもあっています。
KFC国内1号店”発祥の地”名古屋市西区に再オープン
2023年10月13日(金)にKFC国内1号店であった名古屋市西区に「KFCヨシヅヤ名古屋名西店」がオープン!
店舗内には当時の1号店の様子を感じることができる本店舗限定アートワーク、記念プレートなど
1号店”発祥の地”であることを感じられる内装に
ケンタッキーファンにはたまらない聖地!
日本KFCでは国内初1号店のオープン11月21日を
「フライドチキンの日」として記念日登録しています
2. マーケティングの成功
KFCのクリスマス戦略は単なる広告ではなく、実際に日本人のライフスタイルに溶け込みました
創業者カーネル・サンダースは1972年をはじめに3回来日しております
世界に数多くあるKFCの中でも、日本のKFCを一番気に入ってくれていたと言われています。
アピールの力
- 美しく飾られたクリスマスバーレル(専用バケツ)は、家族や友人と分け合うことを容易にしました。
- パッケージやプロモーションもホリデー感を盛り上げ、特別感を演出しています。
店舗での体験
- 予約制度を導入し、待ち時間を軽減。
- クリスマス用メニューとして、通常メニューにはない豪華なセットが販売されています。
このように、KFCは単なる食事ではなく、家族や友人と過ごす時間の象徴として位置づけられました。
3. 日本独特のクリスマス文化
日本ではクリスマスは宗教的な行事というよりも、恋人や家族と過ごすイベントとして認識されています
そのため、特別な食事を楽しむことが重視されます。
もっと、この国にフライドチキンを馴染ませていきたい。
そんなとき、ひとつの発想が生まれました。「クリスマスがある!」。
70年代は、その後に訪れる華やかな時代へと日本文化が大きく変化.欧米のスタイルに憧れ、
積極的に取り入れていった時期でもあります。
そんな中、KFCのフライドチキンが定着したきっかけの一つは、店長がクリスマスのイベントで
サンタクロースの格好をしたこと。店舗近くの幼稚園や小学校に招かれ、サンタクロース姿で
慣れない踊りを披露したところ、
子どもたちは大喜び。これをヒントに『クリスマスにはケンタッキー』を広くアピールしたのが
きっかけになったと言われています。
1974年には大規模なクリスマスキャンペーンを開始し、たくさんの家族のクリスマスを彩
ってきました。こうしてKFCは、しあわせの日の象徴となることができたのです。
七面鳥の代替としてのチキン
- 七面鳥は日本では手に入りにくく調理も難しいため、フライドチキンがその代替として
受け入れられました。 - 手軽でありながら非日常感を楽しめる点が魅力となりました。
家族向けのイベントとして
- 日本の家族構成やライフスタイルにマッチした形で、KFCはクリスマスの定番として定着
- 忙しい家庭でも簡単に特別な時間を演出できる点が評価されています
4. データで見る人気の高さ
毎年、クリスマスシーズンにはKFCの売り上げが急増します。特に12月23日から25日の間は店舗が
大変混雑し、予約が必須となることも。クリスマス専用バーレルの売り上げは、KFC全体の
年間売り上げの大きな割合を占めています。
5. まとめ
ケンタッキーフライドチキンが日本のクリスマスに定着した背景には、巧みなマーケティング戦略、
ターキーの代替としての受け入れやすさ、そして日本独自のクリスマス文化があります。この習慣は、
単なる食事を超えた特別なイベントとして、多くの人々に愛されています。
クリスマスが近づくと、「今年はどのセットを予約しようか?」と考えるのも、もはや日本の風物詩の
一つです。次のクリスマスには、改めてKFCの歴史を思い出しながら楽しんでみてはいかがでしょうか?